文芸、美術、芸能との交流と近代への波及
大久保尚子 著
B5判上製函入・本文512頁・カラー口絵4頁・図版255点
服飾表現は、造形としての服飾と、装うという行為が一体となって完成する。今日のように意匠の創案が専門家(デザイナー)のみに担われるのではなかった近世後期・江戸、文化的成熟を迎え、広汎な文化享受者層に支えられた豊潤な服飾文化はいかに生み出されたのか。本書は、近世後期(18世紀後期~19世紀前期)の江戸において、文芸や美術、芸能などとの交流の中に成立した意匠表現に着目し、服飾文化にみられる意匠の創案と享受の特質と、その近代への波及を展望する。
《目次》
序
第一章 人情本にみる江戸時代後期の服飾文化―趣味人たちの芝居、書画の享受、交遊と装いの趣向
第Ⅰ部
第二章 江戸時代後期の服飾にみる絵画的意匠の性格―「写真」への指向と出版文化
第三章 江戸時代後期の浮世絵師の画業と花鳥画風意匠の展開―美人画、絵本、絵手本と絵画的意匠
第Ⅱ部
第四章 山東京伝作『小紋裁』『小紋雅話』『小紋新法』の検討―見立染織意匠としての特質
第五章 京伝作見立小紋と江戸の意匠―戯作、浮世絵の世界からの広がり
第Ⅲ部
第六章 錦絵揃物「東京自慢名物会」「見立模様」の性格―江戸文化の継承と明治の新風
第七章 明治期図案界にみる見立表現の系譜―江戸と西洋近代との出会い
結
服飾、染織関係用語集
初出一覧
参考文献一覧
図版出典一覧
あとがき
英文梗概
資料索引
人名索引
事項索引