玉腰芳夫建築論集
玉腰芳夫建築論集編集員会 編
B5判上製函入
本文690頁 口絵1丁 挿図約220点
著者・玉腰芳夫 (1938-1984) は京都大学の建築論研究の俊英として、幾多の論考を発表したが、惜しくも逝去された。本書は玉腰芳夫建築論集と題して編集委員会が編纂した全遺稿集である。内容構成は第1部 「古代日本のすまい ― 建築的場所論の研究」、第2部「公刊論文」、第3部「遺稿」からなる。第1部では、寝殿造り住宅と場所の素描、場所としてのすまい、通過儀礼とすまい、場所・秩序・形式と題して、古代や平安時代の公家生活の誕生・婚姻・産所・死などを当時の絵巻や文芸にあたって、それが生起した場所の考察などから現象学的に解明したものであり、第2部は建築空間論や場所論などの代表的論考を収載し、第3部では 「阿弥陀のすまい」 「民のすまい」 など著者の研究的到達点を知ることができる示唆的フラグメントとして集成された。本論集で玉腰学が目指したものが何であったのか、 それぞれの立場から藤井恵介氏 (東京大学教授) と林一馬氏 (長崎総合科学大学教授) が寄稿し、その全貌を窺うことができる。以後の研究の方法的規範として現在も生き続けている遺稿集の公刊である。